オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「まずはこれに着替えてね」


スタッフルームに案内されるとハルちゃんから制服を受け取り、一角にあるカーテンが着いたボックスで制服に着替えた。


「凄いお洒落…」


鏡に映るのは、いつもより大人びた自分。

白いシャツに細身の黒いパンツ。

腰にえんじ色の前掛けエプロンを巻いて、女子スタッフは同じ色のタイを結ぶ。

たったそれだけなのに本当にお洒落で、いつもの子供っぽい自分じゃないみたい…


「…どうかな?変じゃない?」


カーテンを開けて問い掛けると、ハルちゃんは「きゃあ!」と黄色い声を上げた。


「柚姫!可愛いじゃない!似合ってるわよ‼」

「そ、そうかな…?」

「そうよ!ああ…やっぱり柚姫を店に出したくないわ…変な虫が絶対寄って来るもの」


そう言って、わざとらしく大きくため息を吐くハルちゃん。


「変な虫…?寄って来る?」


それってつまり…

私…自分で気付かなかったけど、もしかして臭うとか⁈



< 4 / 251 >

この作品をシェア

pagetop