オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
現に私も…
テーブルで水を零してお客さんのスーツが濡れちゃった時、すぐにタオルをお客さんに渡して一緒に謝ってくれたんだよね…
蒼君が来てくれなかったら、多分凄い慌ててた。
もしかしたら、お客さんを怒らせてたかもしれない。
保健室で初めて会った時。
本当に、本当に蒼君のこと最低だと思った。
正直もう顔も見たくなくて、私の中で無かった事にしたぐらい…
だけど、仕事中の蒼君を見てたら保健室の一件なんていつの間にか忘れてたんだ。
「あのぉ…」
私が月を見ながらボーッとしていると、申し訳なさそうなか細い声が耳に届いた。
振り向くと、淡いピンクのワンピースを着た一人の女性。
背は小さく、細身で。
ワンカールセミディの髪は、夜風でさらっと靡いている。
その度に顔に掛かった髪を直す仕草が、女の私でもドキッとするほど色っぽい。
社会人だろうか。
清楚で、可愛らしくて、女性らしい人。