オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「は、はい…」

「スタッフの方ですよね?」


誰だろう…?

お客さん…ではなさそうだよね…


「そうですけど…どうかされましたか?」

「今日は槙村卓人さんは出勤してますか?」

「卓人さんなら今日はお休みですけど」

「そう…ですか…」


眉を下げ、残念そうに肩を落とす女性。

卓人さんの知り合いかな?


鞄の持ち手をギュッと握る左薬指には、ピンクゴールドの指輪が光っている。

この指輪…凛子が「欲しい欲しい」って騒いでたやつだ。

確か雑誌の特集で、“恋人へのプレゼントランキング(女性編)”の一位に載ってた某有名ブランドのリング。

この指輪をつけてるってことは、もしかして卓人さんの彼女とか⁉︎

卓人さん、女嫌いだって言ってたけどこんな素敵な彼女がいたんだ。



「あっ!ユズキちゃん!」


ピンクゴールドの指輪に目が釘付けになっていると、突如蒼君の明るい声が聞こえ我に返った。

振り返ると、残業していたはずの蒼君が学校の制服姿で慌てて店から出て来たところだった。


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