オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

それは保健室で見た年下とは思えないほどの艶かしい笑顔ではなく。

子犬のような可愛い笑顔で。


「ーー…っ…」


胸がキュンッと跳ね上がり、思わず息を呑んだ。

不意打ちは反則だよ…

心臓に悪過ぎ…

ただでさえ男の人に慣れてないんだから…


「え、襟…立ってるよ」


照れ隠しで言った言葉は、案の定上擦ってしまった。

そんな私の様子を気付いているのかいないのかわからないけど、

「あー、急いでたから」

と、蒼君は外れていたワイシャツの第三ボタンを閉めた。

よく見ると、襟を立てたままネクタイを締めずに首に掛けている状態で。

その姿から、どれだけ急いで着替えたのか安易に想像が出来て、思わず「ふふ」っと笑ってしまった。


「あ〜!笑ったな」

「だって、仕事中は大人びてたのに、今は子供みたいで可愛いんだもん」

「あー…俺、まじだせぇな…」


そう言って、蒼君は髪をワシャワシャと掻いた。


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