オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
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翌朝。
「柚姫ーーっっ‼︎‼︎」
教室に入った途端、凛子が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「どうしたの?朝から大声出して」
「どうしたのじゃないわよ!なんで黙ってたのよ⁉︎」
「黙ってたって何のこと?」
「蒼君のことよ!小泉 蒼(コイズミ ソウ)君と知り合いなの⁉︎」
そう言って、凛子は私の両肩を掴んで小刻みに揺さぶってくる。
「え…うん。蒼君はハルちゃんの店のスタッフだけど。凛子も蒼君のこと知ってるの?」
蒼君とは同じ学校とはいえ、学年は違う。
うちの高校はこの少子化の時代には珍しく、所謂マンモス校で、全校生徒数は1000人を超える。
そんな中、同じ学年でさえ顔も名前も知らない人が沢山いるのに、違う学年の人と出会うなんてほぼ無いに等しい。
あるとしたら部活と委員会だけど、凛子も蒼君も部活はやってないし。
凛子と私は同じ委員会だけど、蒼君を会議で見たことはない。