オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇不器用な優しさ
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バイトを始めて一週間が経ったある日。
「ね〜ぇ、蒼君。この後どこか行かない?待ってるからさぁ」
そう言って、蒼君の手を握るお客さん。
「とても魅力的なお話なんですが、今日は先約があるんです。また今度誘って下さい」
「また先約?この前もそう言って断られたのよぉ?私じゃ不満?」
「とんでもない。お客様みたいにお綺麗な方に誘われて不満に思う男がいたら見てみたいですね」
「それじゃあーー…」
「でも、本当に今夜は無理なんです。ごめんなさい」
そう言って、蒼君が極上のスマイルを浮かべると、女性客は一気に顔を赤く染めた。
このやりとり、今日はこれで何度目だろうか。
学生からOLまで、沢山の人が蒼君に甘ったるい声で言い寄っては、笑顔でやんわりと断る。
そして女性客は、その笑顔に顔を真っ赤にして「また来るわ」と言って帰っていく。