オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

女性客に誘われた時、蒼君はあの極上スマイルで臨機応変に対応する。

本当に先約があるのか、今日の誘いは全部断ってるけど、普段はそれに乗ることもしばしばで。

連絡先を交換したいと言われた時は断ってるところを見たことない。


蒼君は女性を喜ばすツボを知ってるっていうか…

女性の扱いに慣れてるって感じ。



「あの二人には困ったものね」


ハルちゃんが私の隣りに立ち、盛大に溜息をついた。

その視線の先には、今度は卓人さんが声を掛けられている。

しかも案の定、不機嫌そうな表情を浮かべて。


「卓人にはもっと愛想良く、蒼にはお客様との線引きをしっかりって、口をすっぱくして言ってるのに全然直らないんだもの。でもあの二人目当ての客が多いのも事実なのよね」


そう言って、苦笑いを浮かべるハルちゃん。

どうやら卓人さん派の皆さんは、あの冷たい感じがたまらなく良いらしい。

…私には、どこが良いのかわからないけど…


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