オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「ふふ。ありがと。まだオープンしたばっかで客も疎らだったからよく覚えてるわ。遣都ったら本当に美味しそうに食べるから嬉しかったのよ」
「俺、甘いもの好きだし。この珈琲の匂いも、店の雰囲気も落ち着くし。ここは俺の癒しの場所」
そう言って、遣都さんは「もちろん一番は気が合う店長がいることだけど」とイタズラな笑みを浮かべた。
ドキッと高鳴る心臓。
ああ、やっぱり…
遣都さんの笑顔を見てると、ドキドキするんだけど、凄いほんわかした暖かい気持ちになる。
この気持ちが恋、なんだ…
ーーーだけど…
「遣都ったら、ここのこと愛する婚約者にも教えてないのよ」
この幸せな気分は、ハルちゃんの言葉によって簡単に崩された。
今…ハルちゃん…
愛する婚約者って言った…?
「まだ婚約者じゃないっですって」
「あら。近いうちにそうなるんでしょ?あながち間違いじゃないじゃない」
「まぁ…そうですけど」
照れているのか、頬をほんのり赤くして歯切れが悪い遣都さん。