オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

まだ心臓がドクドクいってる…

遣都さんに彼女がいるかもしれないって、考えなかったわけじゃない。

寧ろ、いない方が不思議なぐらい遣都さんは素敵な男性で。

架空の彼女を思い浮かべて、羨ましいとさえ思ってた。


なのに…

本当に彼女がいるってわかって。

しかも近いうちに婚約するって知って…

ショックで胸が苦しい…


遣都さんと出会って、まだ数日しか経ってないのに。

私、自分が思ってるよりも遣都さんのこと好きなんだ…


備品室の真ん中で物思いにふけっていると、突然電気がパチっと点いた。


「ーー…卓人さん!」


振り返ると、相変わらず無表情な卓人さんの姿。

卓人さんは一瞬眉を顰めると、視線を逸らして納品されたばかりのおしぼりが入ったダンボールを開いた。



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