オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「あ、あの‼︎卓人さん‼︎」
緊張で心臓がバクバク音を鳴らす。
手のひらがじわっと汗で湿り始めた。
お店で卓人さんに話し掛けてる女性達は、どうしてあんな普通に話せるんだろう。
もちろん緊張してる人もいるだろうけど、殆どの人が言葉巧みな気がする。
そもそも話し掛けること自体、私にはハードルが高いのに。
「……何…?」
卓人さんは一旦手を止めると、不愉快そうに眉を寄せて振り向いた。
その声は低く、胸にズシンと重く響く。
ゔ…怯むな、私!
頑張れ、私‼︎
「えっと…さっきの備品室でーー…」
漆黒の瞳に飲み込まれないように踏ん張りながら、そう口を開くと、
ーーー…バタンッ‼︎
「良かった!柚姫ちゃん、まだいた!」
タイミング悪く、蒼君がスタッフルームに駆け込んで来た。