オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

「俺、すぐ着替えるから一緒に帰ろ!」

「その…えっと、私は卓人さんに話が……」

「話?…卓人さんなら今出て行ったけど」

「え‼︎⁉︎」


驚きのあまり声を上げ室内を見回すと、さっきまでいたはずの卓人さんの姿がどこにも見当たらない。

嘘…でしょ…

蒼君とほんの少し話してた間に行っちゃうなんて…

気合い入れて、やっと話し掛けたのに……



「柚姫ちゃん、どっかで飯でも食べてかない?」


でも、今を逃したら、次卓人さんとバイトが被るのは明後日だし。

ちょっと分かりづらかったけど、さっきの心遣いは本当に本当に嬉しかったから。

今日中に一言お礼が言いたい。


「柚姫ちゃん?聞いてーー…」

「ーー…ごめんっ‼︎今日は一緒に帰れないや。私、先に行くね!」

「え?ちょっ…柚姫ちゃん⁉︎」


私は蒼君の言葉を最後まで聞かず、スタッフルームを飛び出した。





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