オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「卓人‼︎‼︎」
暫しの沈黙を破るように、鈴を振るような女性の声が閑静な広場に響いた。
あ…この人、前にここで卓人さんを待ってた人だ。
女性は嬉しそうに微笑みながら駆け足で近付いてくる。
それはもう花のように可愛らしい笑顔で。
卓人さんは彼女の前だとどんな顔をするんだろう。
ふと興味が湧いて、卓人さんをちらっと盗み見ると、
「ーー…え…?」
卓人さんは私が想像していたものとは全く反対の表情ーー、
彼女を睨みつけるように眉間に皺を寄せ、缶コーヒーをギュッと握り締めていた。
私が睨まれてるわけじゃないのに、背筋がゾッとするほど恐ろしくて、身体中に緊張が走る。
彼女はというと、そんな卓人さんに気付くことはなく、笑顔のまま卓人さんの前で足を止めた。