オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「あ!あった!」
巻物のように巻かれた大きな地図には、案の定埃が被っている。
「これ持ったら、制服汚れるなぁ…」
そうボヤきながらサッサッと埃を手で払っていた、その時ーーー。
「ーー…ねぇってば!聞いてる⁉︎」
女の子がやや声を荒げて、準備室に荒々しく入ってきた。
足音の数からして二人。
「どういうことか説明してよ!あの子とはどういう関係なの⁉︎」
この時堂々と準備室から出て行けば良かったものを、私は反射的に棚とダンボールの影に隠れてしまった。
ちらっと二人の様子を窺うも、棚が邪魔でよく見えない。
声からして、女の方は知らない人だと思う。
うわぁ…痴話喧嘩かな…
昨日といい今日といい、なんでこんな現場に居合わせちゃうんだろう…
とにかく、バレないうちに早く出て行きたいんだけど…
ここから出るには二人の横を通らないと駄目だし……
「まさか本当に平井柚姫と付き合ってるなんて言わないよね⁈」
え……
今、なんて…言った…?