オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「お願い!話を聞いて?」
「前にも言っただろ?俺は話すことはない」
「私、辛いの。あなたに誤解されたままでいたくない」
澤村さんはそう言って、目に薄っすらと涙を浮かべた。
「…話聞いたらもうここには来ないって約束出来るか?」
「わかったわ」
「20時にバイト終わるから」
「じゃあその頃にまた来るわ」
約束を取り付けると、ほっと胸を撫で下ろした澤村さん。
「それじゃあ、また」と一旦帰って行く後ろ姿は嬉しさで花が咲いてるように見える。
「悪かったな」
「…へ?」
「あいつに何か言われただろ」
もしかして、卓人さんにも聞こえたのかな…
あんなタイミングよく現れたけど、いつから見てたんだろう。
「聞いてたんですか…?」
「……もう無いようにするから」
卓人さんは私の質問には答えず、そう言って先に店に入って行った。