オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
「…泣いてんじゃん。俺なんかのために…」
そう呟いて、蒼君はふっと笑みを浮かべた。
「…つっ…」と痛みに顔を歪めながら、ゆっくりと体を起こす。
手を貸すと、今度は振り払われることなくそれを受け入れてくれた。
それだけで、凄く嬉しくて…
更に涙が溢れてくる。
「柚姫ちゃん…俺、もうちゃんとする。バイトも休まないし女の子とも遊ばない。だから俺のこと嫌いにならないでよ」
「バカ…」
「バカは柚姫ちゃんだよ…こんな俺のために危険を冒して。お巡りさんって叫んだの柚姫ちゃんだろ?あれ、演技だってバレバレだから…あいつらにもバレてたら柚姫ちゃんもただじゃ済まなかった」
「だって、無意識だったんだもん…蒼君が殴られるって思ったら居ても立ってもいられなくて…咄嗟に叫んでた」
すると、蒼君は私の頬にそっと触れて、
「ありがとう…柚姫ちゃん」
と、柔らかな笑みを浮かべた。