オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜
◇蒼side
ーーーそれは突然のことだった。
7年前の7月18日。
俺の9歳の誕生日。
『お母さん!今日の誕生日、唐揚げと海老フライ作ってくれる約束、忘れてないよね⁉︎』
『それがね…急に夜勤が入っちゃったのよ。お父さんも急な仕事でこっちに帰って来れないんだって…だから、いつも通りおばあちゃんに頼んだから、今日はおじいちゃんの家に行ってくれる?』
『え…だって、僕の誕生日は休み取ったから三人でお祝いしようって約束したじゃん!』
『さっき連絡が来てね、今日出勤だった人が倒れて人手が足りないのよ。ごめんね…』
『嫌だ!嫌だ!母さんの嘘つき!』
『蒼…』
『母さんは僕のことなんてどうだっていいんだ!父さんだって…もう知らない‼︎母さんなんて大っ嫌い!消えちゃえ!』
そう叫んで、俺はランドセルを持って家を飛び出した。
それが、俺が母さんと交わす最後の会話になるとも知らずに……