オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜

家に着くと、静まり返ったリビングのソファで、ぼーっと何も考えずに座っていた。

どれぐらいの時間そうしていたかわからない。

突然家のチャイムが鳴ると、さっき別れたはずのじいちゃんとばあちゃんが目を腫らして入ってきた。


『蒼…これ』


そう言って、二人がテーブルの上に置いたのはタッパーに入った大量の唐揚げと海老フライ。

そして、正方形の箱には【蒼 ハッピーバースデー! 大好き】と歪な字で書いてあるチョコプレートが乗ったホールケーキ。


『これはね、お母さんが仕事行く前に作って持って来てくれたの。蒼と約束したからって。本当はお母さんも一緒にお祝いしたかったのよ?だって大好きな蒼が産まれてきてくれた大切な日ですもの』


タッパーの蓋を開け、俺は唐揚げを一つ摘み口に運んだ。


母さんの味だ…

生姜がきいていて、味が濃くて。

じわっと目に涙が浮かぶ。


『母さん…僕……ぼく…ごめんな、さい…っ…』


“母さんなんて大嫌い、消えちゃえ、だなんて嘘だよ…

そんなこと一度だって思ったことない。

僕は母さんが大好きなんだよ…”








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