君と図書室で

あなたと二人で


「大地君、どうして始まりの物語借りてたの?」

「え、あ~。…寂しかったから。だから思い出のあの本、読み返そうかと思ったんだ」


 そう、か。

 …傷つけておいてこんなこと思うのも不謹慎だけど、大地君にとってもあの本は思い出も本だったんだ。

 なんだろ、嬉しい。


「じ、じゃあ…どうしてあの本に手紙挟んでたの?」


 あの時は、たまたま見つけたけど…

 私が見つける可能性の方が低いはずなのに。


「由佳なら見つけ出してくれる気がしたんだ。…実際見つけてもらえたし」

「…大地、なんかすごいね?」

「まぁね~?」


 そんな、何てことないことで笑いあってるこの時間が幸せでたまらない。



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