君と図書室で


 …一度だけ。

 一度だけ、大地君が真面目な顔して聞いてきた。


『由佳ちゃん、オレと話すの嫌なの?』


 嫌なわけない。

 話したいに決まってた。


 …でも。

 何も言えなかった。

 何も言わずに逃げた。

 そうしないと本音を言ってしまいそうだったから。


 その日から大地君が私に話しかけてくることはなかった。



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