君と図書室で


 初めて大地君が図書室に来た日。

 あの日、感じた違和感は…

 私に大波乱が来ることを教えていてくれたのかな?



「あっ…」


 ふと目に留まったのは…

 コンテナに乗せられていた一冊の本。


   『始まりの物語』


「懐かしい…。これ、初めて大地君に紹介した思い出の本だ」


 今思い返すと確かにこの本からすべてが始まった。


「この本から大地君と仲良くなったんだっけな…」


 大地君と出会ってからいろんなことを知った。

 みんなと話す楽しさを教えても。

 笑いあう喜びも教えても。

 サッカーのことも。

 大地君を通して知った。


 大地君に恋もしたし…

 そういえば、その人に会った本を選ぶのも楽しかったな。


「あ、由佳ちゃん。久しぶりね~」

「円城寺先生…久しぶりですね」

「あらその本。今日の朝…ほらあの男の子が持ってきたのよ」


 あの男の子?

 もしかして、その男の子って…







 
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