結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
最初私を食事に誘ってくれていたけど、

その時に一緒に連れて行った娘に関心を示し、

あっという間に娘たちと仲良くなって、

娘のわがままでうちの家の敷居をまたいだ。


するっと私たち母子の心の中に入ってくる不思議な男(ひと)…

男性というものに臆病で警戒心があったはずの娘達も私も

みずき君の中性的で穏やかな人柄に次第に心を許し始めた。


しばらくして娘との関係を誤解して突然拒絶した私に、

「あなたが好きだから娘さん達とも仲良くしようとしたんです」

と告白されてびっくりしたが…

それから本当に色々あって、最終的に彼の気持ちを受け入れた。


それなのに運命は残酷なもので、あの人の激情に任せた暴挙で傷つき

裏切ってしまった自分自身が許せなくて別れようとした私。

それなのに、その全てをただ黙って受け入れてくれたみずき君。

その懐の大きさにただただ感嘆するしかなかった。


こんな私でいいのか?罪を犯した辛い過去に怯えながらも…

その差し出された手を私は握ってしまった。


あの人が女としての躰を甦らせてくれたのなら、

みずき君は私を1人の女性として身も心も慈しんで愛してくれた。

そして、人間として忘れかけていた信頼や愛情がどういうものなのかを

思い出させてくれた…


こんな私だけど、赦されるならこのまま彼のそばにいたいと思う。
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