結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
あの日の約束

秋の週末

寒さが増してきた晩秋の週末、晃希を保育園に迎えに行き、

いつものように家に帰ると、誰かが駐車場に立っている。

私が帰った時にはまだ仕事をしていたはずの…

みずき君だった。


何だろうと思いつつも、とりあえずいつものように車から降り、

助手席側に回り込んでチャイルドシートに座る晃希を抱き上げる。

「パパ?パパ。パパ」

晃希も彼を見つけてご機嫌になる。

「どうしたの?

今日は残業じゃな…」

そう言いながら両手を上げて歩いて近づいてくる彼に晃希を預けた。

「二人ともお帰り」

それから、私は自分の荷物と、晃希の園の荷物を後部座席から取り、

もう一度彼に振り向いた。


「いやぁ~ちょっと…

とりあえず家に帰ろう」

家に上がると、今度は玄関に明らかに娘たちの物ではない

スニーカーがあった。晃希を抱く彼を振り返り

「ねえ、何があるの?」

その時部屋の奥から

「ごめん。お邪魔してま~す」

明るい聞き覚えのある声がした。

「ねえ、まさかりえが来てるの?」

「うん。僕がお願いしてきてもらったんだ…」

「おかえりなさ~い」

私は部屋から出てきたりえと、みずき君を怪訝な顔で睨んだ。

「今日は瑞希さんに頼まれて、子どもたちをここで預かるから」

と、りえは慣れた手つきでみずき君から晃希を抱き取り、

部屋の中へ向かう…
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