結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
あれから奥の部屋に入ると、どうしたのだろうか、ダイニングテーブルには

子ども達が好きそうな食べ物がたくさん並んでいた。


「りえ…

まさか…」

「そんな目で見ないで…

お姉ちゃんじゃないから作るのは無理だよ。

でもね、この頃保育園の側にいいお総菜屋さんを見つけて。

これはそこのご飯…

美味しそうでしょ?」

「「ママ、パパとゆっくり行ってらっしゃーい」」

物知りな美奈と優奈は椅子に座ったまま箸を止め、手を振りながら

私にそれだけ言うと、また目の前の食べ物に集中した。


たまに遊びに来ていたリエに慣れている晃希もベビーチェアーに座って、

食べやすそうな煮物を小皿に移してもらっている…


りえなら大丈夫だろう…

私は、寝室に入り着替えた。

いつもは着ないお気に入りのシフォンのブラウスに、

フレアスカートでみずき君の待つ玄関に向かう。


それから私は車に乗せられて、ひたすら走り続ける。

しばらくして…

海辺に出た。

それからも彼は何も言わずただハンドルを握っていた。

「着いたよ」

そう促されてあたりを見たら、そこは緑に囲まれた駐車場だった。

彼は自然なしぐさで運転席を降り、助手席に回って私に手を差し出す。


「ここどこ?」

「まあ、ついてきて。後で全部話すから…」

彼は手を握ったまま、緑の向こうにある建物に私を導いた。
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