結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】

海辺のホテル

少し傾き始めた光の中に、ひっそりとたたずむ白い建物が

そこに浮かび上がっていた。


今まで車で走って来た田舎道とはここは違う…

リゾート地を思わせるようなそのたたずまいに、

私は目を丸くしながらただ彼に手を引かれて歩く。


ガラス張りの入り口の前に立つと、その向こうにロビーがあり、

ガラスを隔てた向こうには、屋外プールのライトが見える。


一歩中へ入ると天井の高い開放感のあるロビーは、

正面には海が見えるオーシャンビューだった。


建物と同じく白を基調とした調度品が並び、

所々にある青系がアクセントになっている。


私は何も言葉を発せないまま、彼の言いなりになって

ロビーのソファーに座らされた。

「ちょっと待ってて…」


彼は私をそこに置いたままフロントと思われるところに

歩いていき、何かを話している。

それからこちらに戻ってくると

「行こうか?」

また私の手を握ってロビーを奥へと進んでいった。

そして、連れてこられたのはレストラン。


ただただ何が起こっているのかわからないを私を、

彼は椅子を引いて座らせ、正面に彼が座った。

「ごめんね。何が何だかわからなくってびっくりだよね…」

恥ずかしそうにはにかみながら

「確かに…

でもどうしたの?今日って何かあったっけ?」

首を横に振りながら私を見つめる。
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