結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】

混じり合う光と影

このホテルの下見に連れてこられた時、

食事をしているとちょうど夕日が沈む時間だった。

レストランから眺める海と空。一面の蒼の中に沈む真っ赤な太陽。

黄昏時の自然が織りなす光と影。太陽と闇の作り出す景色は

言葉が出ないほどに美しく、心が震えた。


だからこそ結局私は、この夕暮れと京極さんの説明を聞いた後、

帰りの車でこのホテルにしたいと言った。

他の候補を見る必要を全く感じなかったから…


この素晴らしい景色を、わざわざ出席して祝ってくれる

大切な人達にも見て欲しいと素直に思った。


だから式の時間をあえて17時からにした。

夕方からする結婚式の事をトワイライトウェディングというらしい。


日没の時間帯。徐々に濃くなっていく暗闇に、

傾く太陽とキャンドルの光が作り出す幻想的な世界で執り行われる式。

私の場合は神様に誓った結婚は一度ダメになってしまったから…

みずき君とは人前式をしたいという想いを伝えた。

私達はもうすでに夫婦になっていて、入籍してしばらく時間は過ぎたのだけど…

改めて式をすることで、結婚を続けていく事を大切な親しい人に誓いたかった。


私は色々あったからこそ、ここまでこれた。

みずき君とだからこれからも歩んでいけると…

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