結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
気を引き締めていないと泣いてしまいそうな感情に襲われる。


この頃以前と違って涙腺が緩い気がする…

やっぱり歳なんだろう、それなのにこの不釣り合いな姿。


私は首を横に振った。そう…

すぐにこういうふうにネガティブになるのが私の悪い癖。

でもこれがみずき君の望みなんだから、

私にできることは叶えてあげたいと思う。


ふと鏡の前に置いてあるカードが気になって、

戸惑いながら手に取ってそれを開く。


「…」

そこにあった流れるような手書きの文字を目で追いながら…

言葉を失う。

それはとても彼らしいメッセージだった…


深い愛情を改めて感じ、我慢していた涙をせき止めるものが崩壊して…

ぽろぽろと私の気持ちを表す様に流れ始めた。


『やっとここまでこられたね。

僕にとってひなはこの世でただ一人の妻(ひと)です。

僕の何よりも大切な人であるひなの、もっとも美しい艶やかな姿を、

みんなに見せびらかしたかったから…

式をするのを本当は嫌がっていたのに、

それでも僕の夢を叶えてくれてありがとう。

色々な事を乗り越え、その輝きを増しながら、僕を待ち続けてくれた貴女。

今夜はもう一度ひなと、ひなと僕の大切な家族を守ることを一緒に誓おう。

花嫁姿楽しみにしています…

瑞希』

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