結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
永遠を誓う

新たな扉

私はそのカードを持ち、零れる涙をこらえながら

震える指でその文字を一文字ずつなぞる。

どこまでこの人は私を魅了するのだろう…

本当にもう…

座ったまま包まれる幸福感に浸っていた。


コンコン。ドアがノックされ、

「新婦様、よろしいでしょうか?」

くぐもった声がドアの外から聞こえた。私は目元の涙をティッシュで押さえながら

「どうぞ…」

と入室を促す。入ってきたスタッフは私の様子に目を見開いて

「どうされました?大丈夫ですか?」

と心配そうに顔をのぞきこんでくる。

「すみません。大したことじゃないから…

もうじき時間なのに…

化粧直さなきゃいけませんよね?」

「ええ、それは今からすぐご用意すれば問題ありませんが…」


「主人は…

彼は…

私を式の前から泣かそうと思っているんですかね?」

そう言って手の中のカードそっと閉じた。

「何かサプライズだったんですか?とても素敵なご主人様ですよね?

以前うちの京極が所用で不在の時に、

一度だけお話を伺ったことがありましたが、

奥様の事を心底愛されてるんだなぁ~って思いました」


その言葉に私は頬が赤らむ。

「私はまだ独身なので本当に羨ましい限りです…

スタッフを呼びますので涙をふきましょう。このドアを出るときは、

ぜひ花嫁様は微笑んでいてくださいね」

それから少し化粧直しをしてもらった。

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