結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
それからしばらくしてスタッフに導びかれ扉の前にひとり立つ。

ベール越しに荘厳な扉を見上げた…

これが開けば私は…

私達家族は…

新たな1ページをめくる。私はもう一度生まれ変わる。

今日はみずき君のための結婚式…

こんなバツイチの私を宝物のように大切にしてくれ、幸せにしよう頑張る彼に

今までの感謝の気持ちと、変わらない愛を誓いたい。


決意を胸にまっすぐと正面を見据えた。

目の前で、式場になるシーサイドのチャペルにつながるドアが開く。

さっと光が差し込み、

目の前にあの黄昏の夕日が傾く紅と蒼の景色が広がった。

外国のアーティストの静かなBGMが静かに流れ始める…

一瞬そのあまりの純粋さに、前に進むことがためらわれて…

後ずさりしそうになった。

でも、私は彼の待つあそこまでたどりつきたい…


後ろのスタッフの合図で私は、こちらに背を向けて立つ、

愛おしいあなたの所まで一歩一歩ゆっくり足を前に進める。

私には幼いころから、父親はいないから…

あえて代理の付き添いは立てなかった。


紅と蒼の風景の中心にあるバージンロードの真っ白な道が

まっすぐ彼に向かって繋がっている。
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