結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】

誓いの言葉

流れていたBGMがフェードアウトして、辺りがしんと静まり返る。

背中の太陽が沈み始めていて、暗闇にキャンドルの明かりが揺れ、

列席者を含め、会場は幻想的な空気に包まれている…


みずき君の手が私の腰からゆっくりと離れていく。

これから私たちは、目の前に置かれた小さなテーブルの上に置かれた

結婚の誓いを読み上げる。

まずはみずき君が、張りのある低い声で列席者に語りかけ始めた。


「本日は、私達の人前結婚式にご列席いただき、真にありがとうございます。

私達は昨年3月末に田川課長ご夫妻を証人として入籍し、

夫婦として新たなスタートを切りました。

それから長男晃希を家族に迎え、長女優奈、

次女美奈を含む3人の子宝に恵まれ家族5人として現在生活しています。

本日は、ご列席いただきました皆様に証人になって頂き、

私たちが夫婦としての結婚の誓いを改めてこの場で行いたいと思います」

言葉を切ると列席者全員が大きな拍手をする。


その拍手がおさまり、再び会場が静まり返った頃を見計らって、

みずき君がこちらに顔を向け、手を握って合図をしてきた。

私もその掌を握り返し、彼の合図に応える。


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