結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
まずはみずき君と2人で、田川課長ご家族のテーブルに

お礼のあいさつに伺う。田川課長は入籍前の私たち2人の所属課の課長で、

付き合っていることを会社に公にする前から色々と心配をかけ、

配慮してくれ、最終的に入籍の証人になってもらい仲人役のような事を

お願いすることになった。

今日は奥様と、お子さん3人で出席して下さった。

最初は夫婦でと言っていたのを、うちも子ども達を連れてきているので

ぜひご家族でとお誘いして5人の出席になった。

「この度は、本当に色々とありがとうございました」

みずき君のあいさつに続いて私も頭を下げる。

それから手にもっていたビールを勧めたが、課長は手を挙げてそれを断った。

「ご両人、本当にオメデトウ。気持ちはありがたいが、

今日は家族できているから…

あまり子どもの前で酒の醜態も見せられんだろう。なあ、佐々木君?」

「課長はお強いからそんなことないですよ…」

「お前の方が強いだろうが…

弱そうなそぶりを見せながら、実はザルだろう?」

「いえいえ…」

「実は早く帰りたいから…

弱いふりしてるだろう?」

みずき君が含み笑いをしながら何かを課長に耳打ちした。

課長の表情が一瞬変わる。

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