結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
優奈は6年生になって、少し難しくなった。

晃ちゃんを挟んで家族に加わるとそんなことは全くおくびにも出さないが、

私と二人の時には反抗する言動が増えてきた。


以前は素直すぎて長女だから気を使う所もあったから、

本来の子どもの姿に戻っていて、思春期特有の反応ではあるんだろうけど…


美奈はそれと比べるとずいぶん幼い。

私が再婚した時、体中で喜びを表現して、みずき君にべったりだったのが

美奈だった。


彼女にはほとんど父親の記憶がないはず…

美奈にとってはみずき君は理想の父親で、

その人が本当の父親になったことが嬉しかったようだ。

そして、恥ずかしそうにみずき君の事を

「パパ」と最初に呼んだのも美奈だった。


晃希は生まれて1年が過ぎた。

晃希はこの夏職職場と家の間にある保育園に入園した。

最初は家族全員に甘々に甘やかされて育った彼が

集団生活に馴染めるか不安だったが、

今ではお友達と遊ぶ保育園に楽しく通っているようだった。


男の子は初めてで、なおかつ10年ぶりの子育て。

私の体力はもちろん上の2人の時の様にはいかず…

おっかなびっくりのことも多かったが、優奈や美奈、みずき君が助けてくれて、

なんとかこなしていた。


そして何より、晃希はバラバラだった私達が彼の誕生をきっかけに、

本当に「カゾク」としてひとつになるためのかすがいだった。
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