結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
「こうちゃん、パパ。いってらっしゃ~い」


玄関で二人を送り、私はもう少しだけ家の事をして、

最後に戸締りをし、車で職場に向かう…


以前は他の同僚より早く帰る分、誰よりも早く出勤していたから

できるだけ前のスタイルを崩したくなかった…

それでも、やっぱり小学生だけの生活とは違い、以前のように

1番というわけにはいかなかったけど…

私が出勤すると、ほぼ必ず遠藤課長がデスクにいてメールチェックをしていた。

「課長、おはようございます」

「相良君、おはよう」

遠藤課長の好みは薄めのコーヒー。キャラは濃そうでチャラっぽいのに、

濃いコーヒーは飲めないそうだ。だから外に出るともっぱら紅茶を飲むらしい。

外で出されるコーヒーはどうしてもあわないと…


私はコーヒーを置いてその場を去ろうとすると、

「今日もベビーちゃんは佐々木君の送り?」

「はい…」

「まあ、よくあの男も続くなぁ。ああいうのをイクメンって言うんだろう?」

「らしいですね。私よりも子育てに向いているかもしれませんね。うちの主人」

「そう、今日も朝からごちそうさま。

相良も以前より表情がずいぶん柔らかくなったな。

今なら俺もノックアウトされそうだ」

「もう課長~。朝から何言ってるんですか?」




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