結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
柄にもないことを口にして、

それを自覚してしまうと瞬間で耳まで熱くなってきた。

いい年して年下の夫におねだりする女なんて…

つい、卑屈になって自虐的になってしまう。それなのに、

「いいよ。滅多に言わない甘いワガママ聞いてあげる…」

こんな私を丸ごと受け止めてくれるのは、

やっぱりみずき君しかいないのだろう…

体が宙に浮き、本当にお姫様抱っこされているのがわかると、

私はどうしていいのかわからずに躰をすべて預けた。

「いつもそうやって何もかも委ねて、頼ってくれたらうれしいのにね…」

みずき君は私を抱き上げたままゆっくり歩いて、二人のベッドまでたどり着く。


ベッドの端で止まると、そっと壊れ物を扱うようにベッドに下ろし、

唇の端に自分の唇を近づけた。

屈んで落ちてきた啄むようなキス。

チュっと水音の混じったリップ音を響かせながら

その瑞々しい唇が離れて、みずき君は天を仰いだ。


「どうしたの?」

一瞬で離れた唇が恋しくて、思わず聞いてしまった。

みずき君はしばらく天を仰いだままで、その問いに答えは返ってこなかった…

何かやってしまったのだろうか?それとも…


不安になる私に返ってきたのは、みずき君のまっすぐな言葉だった。

「どうしよう…

愛しすぎて、めちゃくちゃに壊しそう…」
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