結婚の賞味期限 人生の消費期限【完】
その先に

この先に待ち受けるもの

結婚式も終わり、それまでと変わらない日常を、これからも過ごしていく…


その週明けの火曜日、仕事帰りに駐車場に向かって歩く。

いつものように、運転席に座ってからまず携帯を鞄から取り出す。

メールや着信がないか確認してから、晃希を保育園にお迎えに行くからだ。


着信もメールもなかった…

私はそのまま携帯をしばらく無言で穴が開くほど見つめ、

電話帳を開いた…

サ行をタッチしてスライドさせて…

あの人の名前を見つける。

そして、そっと削除を親指で触れた。

「削除しますか?」その問いに「はい」を迷わず選択する。

携帯に「削除中」という文字が出て…

「削除しました」というメッセージに変わった。


データーは削除できたとしても、過去までは消えない。

でもその行為は私の中で、忘れきれないとしても

今の手放したくない幸せの為に

あの人を完全に断ち切るという覚悟だった。


全て消えることはなくても…

もう怯えたくない。醜い自分をさらけ出されたくないし、暴かれたくもない…

そんな胸を掻きむしり、這いずり回るような辛い思いはしたくないし、

もう誰にもそんな思いは二度とさせたくないと思った。
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