キライノカケラ
千尋をリビングに残して 静かに部屋に戻った。


お風呂にはいって 髪の毛を乾かしていたら
千尋がタオルをまだ頭からすっぽりとかぶって

アタシの後ろに立っていた。


「あ ビックリした・・・・」

「さっきは ごめん
キョンタの前で 泣いて・・・・・恥ずかしいな・・・」

「そんなことないよ
千尋の気持ち思ったら アタシだって胸が痛いもん」


そう 胸が痛かった・・・・・・。


「花の葬式に キョンタも参列してやって」


「身内だけって聞いたけど・・・・・」


「きっとキョンタが来たら 花 喜ぶからさ。
あの夜すげーうれしそうな声を聞いたから 何かずっと
憧れてたんだって 俺のライバルなんだけどさ」


「そんな 憧れるなんて・・・・」

アタシは複雑な気持ちだった。


「キョンタはさ 太陽みたいだからな。
俺もキョンタに会うまでは マジで暗かったから・・・・
花もそんなキョンタに講習の時から 憧れてたんだってさ」


アタシは・・・・・
憧れられるほどの人間じゃないよ・・・・。
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