キライノカケラ
「もう これで最後にするから・・・・
こんなこと頼めんの キョンタしかいないから……
俺を……俺を抱きしめて欲しい。
あんときみたいに 力いっぱい……」


アタシはその言葉の最後も聞かずに
千尋を抱きしめる。


千尋がここにいてくれるなら
家族としてでもアタシのそばにいてくれるなら
アタシは何でもする。


千尋が出会った頃の子供のように見えた。
よく アタシをからかいすぎて怒られて泣いてたっけ


今の千尋はあの頃より ずっとずっと男の子だけど



愛おしくて 可愛くて 大切で



千尋が 世界で一番の アタシの宝物。



「千尋……一緒に生きよう・・・・・・・
これからだって一杯楽しいことも苦しいこともあるけど
花ちゃんのお父さんが言ったように時間を大切にして
花ちゃんの分まで……二人分生きて……」


多分 千尋は母親を求めていたのかもしれない。
ふくよかな胸はないけど

ふざけすぎて怒られて 泣きじゃくる千尋を
おかあさんが こうやって抱きしめていたのを
子供心にうらやましく見ていた自分を思い出した。

「千尋はいい子でしょ?強い子でしょ?
大好きだよ 千尋・・・・・・」

あの時の おかあさんの言葉を アタシの想いをいっぱいのせて
力いっぱい抱きしめていた。
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