キライノカケラ
「ここって・・・・」

飯田が停めた店は 花の実家だった。


「ここのケーキさ めっちゃ美味いんだよ
俺は大ファンなんだよね 今日子にも食べさせたくて」


なんというめぐりあわせか・・・・・・
まさかあの 花の実家に足を運ぶなんて思ってもなかった。


「悪いんだけど ここの店主に顔知られてるから
今日子買ってきてよ。清水で予約してあるからさ」


清水・・・・
係長の名前じゃん



気乗りしなかったけど とりあえず店に向かった。



花の葬式以来 両親と会うことはなかったし
あれ一度だけだったから


アタシのことは覚えていないだろう・・・・。




店に近づくといい香りに包まれた。



一瞬にして心をなごます香り



千尋の心を奪ったのは花
そして千尋をアタシから奪ったのは


この甘い香り・・・・・・・・


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