キライノカケラ
その手に触れたなら
「何食べたい?おごるぞ」

千尋の車の中は殺風景だった。

「いいよ~修行の身なんでしょ?アタシがおごる
これでもボーナス出たし チケット代も払うからね」

「そうなんだ~修行の身だけど
チケット代出してやれないから 食事くらいは
自称兄としては かっこつけさせてほしいな
あんま 高いのはダメだぞ」

「じゃあ ハンバーグ食べたいから
小さいころよくいったじゃん あそこにしよ」


「いいね~~あそこなら
財布にも優しいからな~」


「千尋と一緒に行くの何年ぶり?」

「何年できかないだろ~なつかしいな~
あの頃は とうさんとキョンタに出会えて
家族になれて本当に幸せだったんだ」


「どうして帰ってきてること教えてくれなかったの?」


「ん?いや
まだまだだからさ……いろいろ考えることもあって
落ちついたら連絡するつもりだったよ」


千尋はあの頃と同じで リスみたいに
頬をふくらませて 美味しそうに食べた。


何が変わったんだろう
少なくてもアタシの想いは変わってないんだよ千尋・・・

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