キライノカケラ
「あの子にこんな素敵な友達がいるなんてね
パパ　ビックリしたでしょ？」

花の母親が笑った。

「ここのケーキ　妹が大好きなんです。
ビックリしました　あんまり偶然で」

「それはそれはありがとう。」

父親も優しそうな人だった。


「花さん　どうしていますか？」

「あの子ね…暗いんでしょ……
どうしてこんな客商売してる両親にね」

「暗い…ん……」

俺は答えに困った。


「あ　ほらさぼり魔見つけた」

母親が指さした。


花は庭の花を植えていた。

「ここの庭の花は全部あの子が管理してるのよ
名前負けしてないでしょ？」


プランターに色とりどりの花を植えている
花を見たのは久しぶりだった。


いつも目にかかるほど重い前髪は
おでこ全開で　顔もハッキリ見えて
俺はその可愛さに　釘づけになっていた。


「人間は苦手だけどね　植物や動物　
甘いものは得意なんだよ　変わった子だろ」

父親がそう言うと母親はケラケラ笑った。
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表紙・目次

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