キライノカケラ
「だって……恥ずかしいもん」

「ダメ 千尋って呼んでくれないと許さない」

花の顔を静かに上を向かせる。


絶対キスするぞ
勢いに乗って 俺の欲望は走り出した。


目と目が合うと 花は恥ずかしそうに目をそらした。

その視線の先を追うように俺は顔を移動させる。

「早く呼んでよ」

「おいおいと呼ぶもん・・・・」

「ダメ 今呼んで これから俺のこと
鈴木くんは禁止」

「噂通りの俺様なのね」

「俺様?なんかそんなこと言ってるよね~
うんま それもあたってなくもない」

「花 呼んで・・・・」


花の大照れな様子がめっちゃ可愛くて俺は死にそうになる。


「ち…ち…ちひ……ろ……」

「いいねぇ~」


思わず花を抱きしめる。


「花……大好きだよ 花は?」

背中に回った花の手に力が入った。


「ありがとう……私も好きよ……千尋……」

うれしくてうれしくて
俺は体を離して 花を見つめた。

「可愛いよ 花……」

「可愛くないよ 私 ブスだもん」

花はそう言って目をそらす。
< 58 / 204 >

この作品をシェア

pagetop