キライノカケラ
携帯音が鳴って 千尋の笑顔はさらに増す。

「もしもし………ん……
今 帰ってきたとこ……どう?………
え?マジで………明日?………やったぁ!!!
家に寄るよ………ん?……」

笑顔のまま アタシに何か合図して
千尋が立ち上がった。

そしてアタシに背中を向けて キッチンへ歩き出す。


「よかった~~俺もうめっちゃ心配したんだぞ……うん
………うん………明日……ハハハ…俺も……ギュウってする……」


声は小さくなって千尋が
アタシに聞こえないところへ移動したのがわかった。


何が ギュウってするだ……


千尋が花を抱きしめる様子が脳裏に映る。


アタシは目を固くつぶる。


千尋が花にどんどん惹かれているのが
痛いほどわかる。


「うそつき
アタシの恋なんか絶対に叶えてくれないくせに」


花がまた学校へ戻ってくる。
気がずしっと重くなる。


その時

「キョンタ!!!」

千尋が入ってきて アタシは身構えた。
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