キライノカケラ
抱きしめる相手が違うんじゃ?


でも 今 アタシ 千尋の腕の中にいる。



ドキドキドキ……

心臓の音 聞こえたら恥ずかしいけど



「多分さ本当のきょうだいより絶対
俺とキョンタの絆は深いと思う。
男と女を超えて……ずっとずっとこうやって
辛いときも楽しいときも
共有していけたらいいなって……
だからさ キョンタも絶対に幸せになれよ」



千尋が体を離してアタシを見つめる。


言われてる言葉が 何か違うけど
でもアタシは 今千尋とこんなに近づいていて
胸が張り裂けそうになっている。


「おまえはマジで特別な存在……」


アタシは必死で冷静になろうとする。


「うれしくないし……」

「マジかわいくね~~!!!」

そう言うとアタシの頭を鷲掴みにして 前後左右に振った。


「や~やめてよ~~!!!」

小さいときから 千尋とアタシは
いつもこうやって触れ合ってきた……。

いつからアタシ 道を外れてしまったんだろ。
何も考えず 笑えたあの頃に帰りたい……。
< 88 / 204 >

この作品をシェア

pagetop