キライノカケラ
「お邪魔してます」


声がして振り返った。


花がお盆を持って立っていた。


「あ………」

返す言葉が見つからない。


「千尋具合悪かったみたいで……今 お粥食べたとこなの」


花は小さい声でそう言った。


「そうなんだ」


気のないふりをしてみてもいないテレビを振り返る。



「キッチン借りたから……」


「うん」



花はそういうと 洗い物を始める。



やめてよ・・・・・・
ここはアタシの家なんだから


勝手なことしないで



そう心が叫んでいても 口には出せない。



しばらくして
「千尋のこと……よろしくね…」

花が言った。
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