雫~あの日流した涙~


  久しぶりに家に帰ると

  
  いつもなら薬で暴れている

  
   母の姿が見えない

  静まりかえった部屋の一室から

   水の音が聞こえた

  
  「もしかして…」

  あたしは、急いで

  お風呂場へ向かった

 
  予想はあたっていて

 母は、右手に剃刀をもって

   
   切った左手を


  浴槽に入れて倒れていた

 


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