毒舌に惑わされて
出逢いは夜
1人でバーで飲む休日ほど虚しいものはない。

だけど、居心地の良さが最高に気に入っているこの『fantasy』というバーに私はいる。


「莉乃(りの)ちゃん、せっかくの休みに1人でいないで、デートくらいしてきなよ」


「マスター、相手がいないことを知ってるくせに、どうしてそんな嫌みを言うのよ」


「はい、はい。ごめんねー」


悪いと思ってない返事をするマスターに苛ついて、目の前にあるジントニックを飲む。

残り少ないな、次は何を飲もうかな。


「おい、聖也(せいや)。お前もこんなとこで拗ねてないで、女の1人くらい引っ掛けて来いよ。お前くらいのイケメンなら女に不自由しないだろ?」


ん?イケメンだって?

私はイケメンに弱い。

どんなイケメンだ?

どれどれ…
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