毒舌に惑わされて
逆に。自然でいることの出来ない私は、まだ今の状況に戸惑っている。聖也から見ても不自然のようだ。

気付けば、皿の上のホットケーキがかなり小さく刻まれていた。


聖也の気持ちは聞いたけど、これからどうするのかとふと気になった。


「ねえ、あたしたちって、これからどうするの?」


「これからって? 今日これから? デートでもするか?」


「あたしたちって、デートするほどの仲だっけ?」


もぐもぐ食べていた聖也が動きを止める。さっきまで爽やかオーラを放っていたのに、今では不機嫌オーラが出てきている。

私、もしかして失言した?


「はあ。俺、気持ち言ったよな? 聞こえてなかった? そういえば返事なかったけど」


あの状態で返事をしろと? それは、無理です。


「聞こえていたよ。ちゃんと聞こえたよ」


「なら、これからどうするかなんて、分かりきっているだろ?」


「えっ? えっとー」


「お前はそんなに経験値が低いのか?」


「失礼ね」


聖也よりも長く生きているし、それなりにいろいろ経験はしてきたつもりだ。
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