毒舌に惑わされて
「でも、こんなにも分かりにくいことなかったから、混乱してしまって」


「まあ、いいや。鈍い莉乃にも分かるように言ってやるよ」


またしても偉そうだけど、分からないのは事実だから、私は教えて欲しいと頷いた。きっと一度しか言わないだろうから、聞き逃さないようにと、背筋を伸ばして構えた。

さあ、来い!


「莉乃、結婚しよう」


はい?


聞き逃さないで、ちゃんと聞いたけど、私、固まりました。

非常にストレートで分かりやすいけど、いきなりプロポーズだなんて、飛びすぎ。想定外だ。

突然のプロポーズに対する心構えなんて全然してなかった。だから、返事の仕方が分からない。

何か答えなくちゃいけないと焦る気持ちはあるけど、何も出てこない。


「返事は?」


しびれを切らした聖也が返事を急かす。


「なんて返事をしたらいいのか、分からなくて」


「返事なんてイエスかノーしかないだろ? まあ、イエスしか受け付けないけど」


出たよ、また俺さま聖也が…。


「でも、結婚よりも先にすることあるよね?」
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