毒舌に惑わされて
一応段階は踏まえたい。結婚もしたいけど、それよりもまずは恋愛をしたい。


「先にすること? もう2回もしただろ? まだ足りない?」


「ううん、そういうことじゃない」


「そういうことじゃないなら、何?」


聖也こそ理解力が不足してないだろうか。


「普通はお互いの気持ちを確認して…ほら、告白とか? それから、付き合おうとか話をして、お互いをよく知って、結婚したいと思ったらするとか…そんな感じじゃない?」


「そんなの1つの形だろ? いろんな人間がいて、いろんな出逢いがあるんだから、始まりだっていろんな形があっても不思議ではない。そうじゃないのか?」


「確かにそうだけど」


「だろ?じゃあ、早く返事しろよ」


結局、私は聖也の言葉に納得させられてしまう。確かに恋愛にはいろんな形がある。それは私にだって分かる。


いろんな形がある中で、私たちは稀な形になると思う。でも、私の中で明確な答えは出ていた。


「うん、結婚しよう」


ストレートに言われたら、ストレートに答える。

我ながら良い答え方だと思った。
< 169 / 172 >

この作品をシェア

pagetop