毒舌に惑わされて
カウンターの真ん中辺りに座っていた私は、右端に座っているイケメンと言われた男をひと目見ようとそっちの方向に顔を向けた。

ちなみに私とイケメンの間は空席で、私たちの他にカウンター席に座っている人はいない。

テーブル席は愛を語らうラブラブなカップルで埋まっていた。なので、そんなよそのカップルたちよりもイケメンに興味が持つのは当たり前。

しかし、チラッと見ただけでは、イケメンかどうかよく分からない。薄暗いし。

だから、私は首をちゃんと横に向けて、しっかりと見ることにした。

そんな私の視線に気づいたのかイケメンがこっちを向いた。正面からの整ったお顔がしっかり拝めた。


おー、なかなか私好みのイケメン!

うん、うん。イケメンが見られるなんて今夜はついているな。


「何だよ。勝手に見るな。金取るぞ」


おっと、柄の悪いイケメンだ…。
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