毒舌に惑わされて
「うん、美味しいよね。ところで、何か話があったんじゃない？」


聖也に急かされたからではないけど、話が気になっていたから早く聞きたかった。


「あの、まだ俺を１人の男として見ることはできませんか？」


野村くんには以前告白されたことがある。その時は、年下には興味がなくて、ただのかわいい後輩にしか見えなくて断った。

その時は、好きな人がいたことも断る理由の１つだったけど。


「ごめんね。私にとって、野村くんはかわいい後輩かな」


「かわいいって、もう俺もいい年ですよ」


「そうよね。頼りになることもあるし、立派な大人だと思うよ」


男の人を誉めるのって、どう言っていいか分からない。


「結局、そうやって俺をいつも年下扱いしますよね」


野村くんは唇を尖らせて、拗ねる。


「だって、本当に年下だし」


拗ねる姿がかわいくて、微笑んでしまう。


「さっき、安藤さんを呼び止めた人は同い年くらいですか？」


聖也のことか……。あの無駄にでかい態度は年下に見えなかったらしい。


「あれね、あたしよりも６つ下なんだって。隣りにいるのと姉弟なのよ」
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